迫りくる世界大恐慌 - 国際情勢の分析と予測
レバレッジング(負債圧縮)」は、大変な旅を指す不快な言葉だ。すなわち、信用バブルの後に過剰債務を減らす旅である。今、その努力が特に難しいのは、米国やその他の経済大国に影響を及ぼすからだ。デレバレッジングは単に地域の出来事ではなく、グローバルな出来事なのだ。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートは1月、デレバレッジングに関する貴重な調査報告の改訂版を公表した*1。これは、はっとさせられる資料だ。デレバレッジングの道のりは、まだ先が長いことを示しているからだ。だが幸い、報告書は米国経済がデレバレッジングで最も進んでいるということも示している。
一時的な財政赤字の増加は恐慌を防ぐ< br/> 債務をさらに抱えることで債務から抜け出すことはできない。読者の皆さんは一体何度、このような論評を読んだだろうか?
これは決まり文句だ。そしてマッキンゼーの調査が指摘しているように、間違った考えでもある。1990年代初頭に大きな危機に見舞われたスウェーデンとフィンランドは、なぜそれが間違っているかを示す好例だ。
穏便なストーリーは以下のように展開していく。まず、借り入れの急増は巨大な金融危機に終わる。政府はすぐに金融システムを再編する。過剰な債務を抱えた民間の借り手は、支出を大幅に削って債務を減らす。中央銀行は金利を引き下げる。
結果的に生じる経済活動と利益の急減により、政府は巨額の財政赤字に追い込まれ、一方で財政赤字が経済を支えることにもな� �。最後に、輸出に助けられて経済が回復し、政府が財政再建に乗り出す――。
このように、財政赤字の一時的な増加は、民間部門が支出削減を余儀なくされる事態から経済を守る助けになるわけだ。財政赤字が増えない場合、恐慌が生じ、返済ではなく大量の破綻によって債務が減っていくことになる。
民間部門の回復のために必要なこと
残念ながら、スムーズな調整の道のりは、時間がかかる。また、政府の信用力にも左右され、政府の信用力は民間部門のそれより大幅に高くなくてはならない。米国と英国にはこれが当てはまるが、スペインには当てはまらず、同国は激しい緊縮を強いられている。
危険なのは、民間部門がいつになっても完全に回復しないことだ。日本では、これが起きたように見える。マ� ��キンゼーの調査報告書は、その危険を回避するには何が起きなくてはならないか説明している。リストに挙げられているのは、銀行システムの安定、財政の持続可能性に向けた確かな計画、構造改革、投資と輸出の増加、住宅市場の安定、建設活動の回復などだ。
経済が支えられる債務の量は、誰が借りて誰が貸したのかということに加え、担保の価値、そして何より経済活動によって決まる。不必要に破壊的な債務の減少をもたらす最も確実な方法は、経済が崩壊するに任せることだ。
積極的な金融政策と、一時的な多額の財政赤字が重要なのは、このためだ。民間部門が削減に取り組んでいる時に公的部門が支出を維持しなければ、民間部門は度を越すまで支出を削減し、不必要に深刻なダメージを経済に与えてしまう 。
米国のデレバレッジングが大きく進み、英国とスペインが遅い理由
では、デレバレッジングは今、どこまで進んだのか?
米国の場合、2008年から2011年第2四半期にかけて、債務総額は国内総生産(GDP)比で16%減少した。英国とスペインでは、同じ期間に債務が増加している。1つには、英国やスペインと比べると、米国がはるかにうまくGDPの水準を維持してきたためだ。また、米国では、金融機関と金融以外の企業部門も首尾よくデレバレッジングを進めてきた。
だが、英国とスペインでは、金融部門はデレバレッジングを行っていない。そして何より、米国は英国やスペインよりも家計の債務を大きく削減してきた。米国では、主にデフォルト(債務不履行)のおかげで、家計債務の絶対額さえ減少している� �
米国の家計債務は、1990年代のスウェーデンのデレバレッジングに並ぶまでには、まだ道のりを3分の1ほど進んだだけだとはいえ、米国の長期トレンドの水準まで戻っている。
全体的に見ると、危機後の米国は、英国とスペインより健全な状態にあるようだ。政府と民間を合わせた米国の債務総額(2011年第2四半期でGDP比279%)は、英国(507%)やスペイン(363%)よりはるかに少ない。米国政府の借り入れ能力は依然高い。
英国政府の借り入れコストも低いままだ。GDP比219%に上る金融部門の巨大なバランスシートが、英国の高い債務水準を概ね説明する。だが、英国政府は歳出を削減している一方、民間部門のデレバレッジングは遅々として進まない。
スペインでは、政府の借り入れコストが米国や英国より 大幅に高く、民間部門のデレバレッジングはこれまで、ごく限られたものになっている。
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各国が直面するリスク
これらの経済国は皆、危機からの脱出に向かう旅でリスクに直面する。例えば米国には、財政の持続可能性を確保する計画がなく、規模が大きすぎて輸出からは多少の後押ししか期待できない。
米国の景気回復は、建設を含む投資が引っ張らなければならない。債務増加に頼らない民間投資の急増がなければ、財政赤字を解消するのは難しいかもしれない。
英国の場合もやはり、政府が望んでいるように経済が回復し、財政赤字が解消されるには、企業の投資と純輸出の急増が欠かせない。それに加えて英国は、ユーロ圏の崩壊の脅威にも直面する。ユーロ圏が崩壊すれば、英国の金融部門に深刻な被害 が及ぶ恐れがある。
スペインの場合は、景気回復に向けて、純輸出の急激な変化が主要な役割を果たさねばならない。特に、金融以外の企業部門が既に多額の債務を抱えているからだ。金融を除くスペインの企業部門の債務は2011年第2四半期にGDP比134%に上っている。これに対して英国は109%、米国は72%だ。
総合すると、1930年代以来最大の金融危機の後遺症から逃れるには、かなり長い時間がかかるだろう。良い知らせは、恐慌が回避されたことだ。さらに良い知らせは、特に米国では民間部門のデレバレッジングが進んでいることだ。
デレバレッジングに至る道筋を描け
資産価格が安定し、各国経済の調整が進めば、金融・財政政策の異例な支援を打ち切ることができるはずだ。悪い知らせは、それには多くの 人が考えているより長い時間がかかりそうなことだ。金融・財政支援の早計な撤回は、苦しんでいる経済国を再び景気後退に陥らせ、信頼感に破滅的な影響を及ぼす恐れがある。
さらに、長期的には、無責任な民間借り入れが再び生じたり、巨額の財政赤字が続いたりする事態を避けるためには、対外収支の大きな変化が必要になる。
デレバレッジングへの道のりは、長く、厳しいものになる。財政再建へ向かう道のりも含め、歩んでいく道筋を描くことが肝要だ。それ以上に重要なのは、まだ始まったばかりなのに、終わりが近いと思わないことだ。
●中国経済はハードランディング状態-JPモルガンのモワット氏 2012年3月15日(ブルームバーグ)
:中国経済は既にいわゆる「ハードランディング」の状態に入っているとの見方を、米JPモルガン・チェースのアジア・新興市場担当チーフストラテジスト、エイドリアン・モワット氏(香港在勤)は示している。
同氏は14日にシンガポールで開かれた会議で、「中国の統計を見ているなら、ハードランディングをめぐる議論はやめてしかるべきだ」と発言。「中国は現在ハードランディング状態にある。自動車販売は減り、セメントや鉄鋼の生産も減少。建設株は値下がりしている。いまさら議論する必要のない、それは事実だ」と語った。
中国の温家宝首相が住宅価格はなお適正な水準には程遠いと指摘したことを受け、同国株の指標である上海総合指数は14日に2.6%下落。昨年11月30日以来の大幅安となった。温首相のこの発言で、不動産規制が経済成長を脅かしているにもかかわらず、中国政府はさらに長期にわたって規制を堅持するとの懸念が高まった。
モワット氏は昨年5月、不動産需要の停滞に反して、同市場への固定資産投資が増えていると指摘し、中国でハードランディングのリスクが高まりつつあると警告していた。同氏は金融誌インスティチューショナル・インベスターの2011年アジア株戦略部門のランキングで2位。
同氏はまた、会議後のインタビューで、「不動産需要が持ち直して在庫が一掃されることを人々は期待しているが、それが起きる公算は小さいだろう」と述べ、「中国の経済成長に再加速をもたらすような政策面での動きを示す兆しは見られない」と語った。
● "高値"の花 ソウルマンション 統一日報 2012年03月14日
平均的な収入と貯蓄率の勤労者がソウルに平均的なマンションを購入しようとすると、400年以上かかることがわかった。
ソウルのマンション価格の平均は5億5990万ウォン。月平均の世帯所得は388万3351ウォンで、これを全額使えば12年がかかる計算になる。3年前に比べて2年2カ月短くなった。
12年間で1ウォンも使わないのは不可能だが、収入の30%を貯蓄した場合で計算すると40年になる。しかし韓国の家計貯蓄率は昨年平均で2・8%。これを基準にすると429年もかかる。
相続や贈与された財産なしにソウルにマンションを購入するのは難しい。
ソウル周辺の京畿道では、収入を全額購入費用に充てられると仮定した場合、マンション購入に6年5カ月、仁川では 5年ちょうどかかる。
これは3年前からそれぞれ11カ月と8カ月短縮されたものだが、他地方では年数が増加している。
●ゴールドマンを社員が批判、有害で破壊的社風と−NYT寄稿 2012年3月14日(ブルームバーグ)
レッドウッドフォールズ
:米ゴールドマン・サックス・グループを退社する社員が、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)への寄稿で「有害かつ破壊的な」社風を公に批判した。同社の中からここまであからさまな批判が上がったのはこれが初めて。
NYTに意見を寄せたのはグレッグ・スミス氏。同紙によれば、ゴールドマンのエグゼクティブディレクターで欧州での米国株デリバティブ(金融派生商品)事業の責任者。12年勤めた同社を14日を最後に退社する同氏は、社風の変化はロイド・ブランクファイン最高経営責任者(CEO)やゲーリー・コーン社長に責任があると指摘した。エグゼクティブディレクターは同社で最高の幹部クラスを意味するパートナーやマネジングディレクターよりは下の位置づけ。
スタンフォード大学出身のスミス氏は寄稿で、「デリバティブ販売の会議に出席しても、顧客をどのように手助けできるのかという質問をする時間が1分たりともない」とし、「顧客からいかにどれだけ多くの金をもうけられるかということにのみ集中する会議だ」と批判した。
ゴールドマンに対しては、金融危機を引き起こしながら顧客の負担でもうけているという批判が政界や世間から上がっており、これに社内からの攻撃が加わった格好だ。
ロンドンの人材あっせん会社パーセルの創業者ジョン・パーセル氏は「これは明らかにゴールドマンにとって痛手だろう」と述べ、「心の内をさらけ出した寄稿だ。ひょっとしたら、生涯に必要な資金を既に稼いでしまったので、金融機関に再び雇ってもらわなくても構わないのかもしれない。教職など全く別の世界で働くのではないか」と話した。
ゴールドマンは反論
ブルームバーグ・ニュースはスミス氏の携帯電話に連絡を試みたが、これまでのところ返答はない。ゴールドマンは同氏の批判に反論。「当社の見方では、顧客が成功して初めてわれわれも成功する。この基本的な真実が当社の経営の根幹にある」とするコメントを発表した。
しかしスミス氏は「顧客から金をむしり取ることを無情に話している状況は気分が悪くなる」とも記し、「過去12カ月で5人のマネジングディレクターが自分の顧客を『操り人形』と社内メールなどで呼んでいるのを目にした」と明らかにしている。
同氏はまた、ゴールドマンが手放したい金融商品を売りつけるなどの方法で金を稼いだ社員を昇格させる同社の経営陣も批判。社員がいかに優秀でも、顧客はゴールドマンを信頼できなくなれば取引をやめるだろうと警告した。
「社風は常にゴールドマンの成功を支える重要な部分だった。チームワークや誠実さ、謙遜の精神、そして常に顧客のために働くということを中心に成り立つ文化だった。金をもうけるということだけではなかった。それだけでは会社は長く続かない。社内の誇りや信念に支えられた社風だったはずだが、残念なことに、今は働きがいをもたらしてくれた社風はかけらも見えない」とも記している。
●[FT]ゴールドマンは元幹部の批判に応えよ(社説) :日本経済新聞 2012/3/16 14:00 (2012年3月16日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米金融大手ゴールドマン・サックスを退職したグレッグ・スミス氏が同社への失望を吐露した手記が米紙に掲載され、他社の中堅社員の手記であれば想像もつかないほど注目を集めている。
■「有毒で有害な」社風を批判
デリバティブ(金融派生商品)の営業担当だったスミス氏がゴールドマンの「有毒で有害な」社風を批判したこの手記は、14日の発表以来、話題騒然となっている。
強調しておくが、この手記が注目を集めているのは、スミス氏が新たな犯罪を告発したからではない。投資家と代理人の利益が一致しない「プリンシパル・エージェント」問題を抱えていたり、時には顧客よりも会社の利益を優先するという米大手金融機関のイメージに今さ� ��驚く人が多いとも思えない。異例であり衝撃的なのは、米大手金融機関、とりわけゴールドマンのような有力企業が、退職する社員からここまで公然と痛烈に批判されるべきなのかという点だ。
ゴールドマンにとってスミス氏の批判は苦痛だったとしても、同氏とその行動を非難しなかったのは賢明だ。
同社は対外的には、ジョン・ホワイトヘッド会長(当時)が30年以上前に定めた14項目の「経営理念」を重視する姿勢を示してきた。理念では企業倫理や顧客を最優先することの重要性を強調している。
■CEOはリーダーシップを示せ
ゴールドマンがこの理念を順守しているかどうかを疑問視したのはスミス氏が初めてではない。商品取引を担当していたロイド・ブランクファイン氏が2006年に最高経営責任� �(CEO)に就任して以来、疑問の声は徐々に高まっていた。トレーダー出身のブランクファイン氏は、企業や投資家への助言業務よりも自己勘定取引や投資業務に重点を置いてきた。
2006年大恐慌の影響
この経営戦略は投資家に利益をもたらしてきたが、ゴールドマンの評判を傷つけかねないリスクを高めた。リスクが常に適正に管理されてきたとも言えない。10年には米証券取引委員会(SEC)がデリバティブ取引に関する証券詐欺の疑いでゴールドマンを提訴。同社は(単なる「ミス」だったとしならがも)罰金と補償金5億5000万ドルを支払い、和解した。
ゴールドマンはスミス氏の批判に無関心でいるわけにはいかない。どんな印象をもたれるかが重要であり、顧客は食い物にされていると感じれば取引から手を引く。社員があからさまに疑問を呈するようなものならば、14項目の理念に価値など無いに等しい。
チームワークは常にゴールドマンの強み� ��ったが、(団結が崩れれば)その社風は同社の弱みになりかねない。経営戦略をホワイトヘッド氏の理念と合致させ、この問題に対処するリーダーが同社には必要だ。ブランクファインCEOは適任者であることを自ら示さなくてはならない。
●焦点:中国が不動産税導入に強い決意、次は首都北京で実験か | Reuters 2012年 03月 14日
[北京 14日 ロイター] 中国政府が計画している全国的な不動産税(房産税)導入に関して、次の大掛かりな実験場所は首都北京になる可能性がある。政府のお膝元で批判にさらされる危険を抱えるが、逆に10年間暖めてきたこの不人気な計画をぜひとも実行しようという強い決意が明確になっている。
温家宝首相は先週の全国人民代表大会(全人代)の開幕演説で、中国の指導部が不動産税を推進する方針を明瞭に示した。
政府の計画は、全国的な不動産税に既存の関係税をまとめて一本化し、住宅の複数所有や投機売買に対する各種規制の代わりにすることを目指している。
不動産税の実験は既に行われている上海と重慶に、比較的裕福な沿海部の各省が参加する見通しだった。しかしこうした省の高官 からやんわりとした形ながら一斉に不満が出たたため、首相としては次の実験場所を北京に向けざるを得ない情勢だ。
とはいえ、北京では引退した公務員らの怒りを買う恐れがある。「私は反対だ」と、強力なシンクタンクである国家開発改革委員の上級調査員で、中国人民政治協商会議委員である張小済氏は反発する。
同氏はロイターに「私のような老人は引退している。国家のために生涯働き、福祉として政府から住宅を得た。不動産税の支払いを今命じられるのは、全く不当ではないか。(負担が増えることになる)住宅価格の上昇にどう対応しろというのか」と話した。
北京には、影響力のある頑固な元公務員の年金生活者がかなり多い。彼らは政府から住宅を直接与えられたり、補助付き住宅に住んでいる。北京� ��は不動産価格の高騰が目立つが、不動産の広さや場所、地価に基づく全国一律の不動産税はとりわけ不人気だ。
不動産税制を詳細に作成し、住宅所有者に超過負担にはならないと説得するのは、大変な作業が必要になる。
上海と重慶では新税を住宅価格の0.4%から1.2%という低い税率にとどめ、大半の住宅所有者には課税を免除している。しかしそれによる税収はささやかなもので、歳入を増やすことで頭がいっぱいの税担当者にわざわざ課税する意欲を失わせ、効果に疑問が上がっている。
この新税からの重慶の収入は1億元(1590万ドル)にすぎない。それに対して土地売却に絡む収入は820億元だ。上の場合は不動産税の収入が3億元で、土地売却収入は1510億元に上る。
住宅所有者の間で� ��人気なうえ、地方政府でも不動産税を歓迎する声はない。導入すれば不動産取引件数が減少し、土地売却によって生じる収入が落ち込むためだ。
地方政府は債務の返済で1元も粗末にできない。2010年末時点で地方政府の抱える債務は10兆7000億元(1兆7000億ドル)。その3分の1ほどは中国政府の不動産価格抑制策で不良債権化する恐れがあると、アナリストはみている。
クレディ・スイス(香港)の不動産アナリスト、Jinsong Du氏は「地方政府は今年は不動産税を始めたくない。だから先行例を作る最初の場所として北京が選ばれる可能性が最も高い」と話す。
全人代で温家宝首相が表明した財政改革に断固たる態度を取る上では「不動産市場の長期にわたる安定性と健全な発展」が必要とされる。さらに年内の指導部交代を前に、政治の安定と国内統一を示すことも求められている。
足元からの批判を受け止めることは計画の実施を助けるが、一方で好意的な発言も支えになる。
重慶の黄奇帆市長も全人代の際に記者団に、この税の投機抑制効果を評価し、「効果は非常に高い。昨年高級住宅の取引は急減した」と語った。
謝旭人財務相は全人代の記者会見で、政府が上海と重慶での結果を詳細に調査し、「実験を適切に広げていく」と表明� ��た。
中国社会科学院の調査員、Lu Fengyong氏はロイターに対し「長期的に中国は、不動産投機を抑制するために税制と金利を駆使する必要がある。ただ現時点では、行政措置がより効果的のようだ」と述べた。
<微妙なせめぎ合い>
それでも、中央政府と地方政府の間の微妙なせめぎ合いにより、特に豊かな沿海部の江蘇、山東、広東、浙江の各省では不動産税の実施は来年以降に持ち越されそうだ。こうした省は第2の実験場所として、アナリストが上位に挙げている。
4省政府の高官は中央政府の長期計画に注意深く協調しながらも、今年は不動産税の実施を避けられると期待している。全人代委員であり、広東省の税務を統括する王念寧氏は記者に対し「私が知る限り、重慶と上海ではさらに検討と改善が必要な問題が幾つかあった」と述べた。
王� ��寧氏は「(重慶と上海の不動産税徴収)の異なる二つの方法を集約、比較し、それを合わせて広東省の状況に当てはめたい。広東省は今のところ実験を始める計画はない」と明らかにした。
全人代委員で山東省の姜大明省長は、年内に不動産税を導入するよう命じられていないと記者団へ語った。全人代委員の江蘇省建設庁長の周嵐氏も同州が実施から外れていると述べている。
浙江省の毛光烈副省長は記者会見で「上海と重慶の結果から最良部分を受け取るためには、しばらく見守る必要がありそうだ。われわれはまだ初期段階だ」と語った。
しかし、2011年から2015年にかけての中国の第12次5カ年計画に不動産税の導入が盛り込まれていることから、各省はある時点で足並みをそろえることになりそうだ� �
財政省財政科学研究所の買康氏は「技術的には不動産税を拡大実施する障害はない。最も難しいのは既得権益の打破だ」と指摘した。
【私のコメント】
米国をはじめとして世界の株価は今年に入って高値を更新している。しかし、世界の貿易実需の最も重要な指標であるバルチック海運指数は昨年秋から12月にかけて2000前後の一時的高値を記録した後に1月に暴落し、現在まで600−800前後の安値ゾーンで推移している。株価指数は明らかにバブルであり、それは世界の中央銀行による通貨大量供給や国際金融資本による株価買い支えなどによる作為的なものである。この作為が長期継続することは不可能であり、近い将来に全世界は大恐慌に突入することになる。その後に起きるのは戦争による工場の大量破壊であり、米� �一極体制・国際金融資本の世界支配体制から多極体制への世界覇権システムの移行であろう。
世界の工場である中国では建設資材や自動車販売が低迷しているが、中国政府は不動産税導入による不動産価格抑制への意思を示している。日本とドイツを除くほぼ全ての先進国には不動産バブルが存在しており、それによって現在の好景気が維持されている。バブルの裏には過剰な借金が存在しており、これからはその借金を返済するために消費が抑制される(デレバレッジング)という苦しい期間が続く。米国は英国やスペインに比べてこのデレバレッジングが進んでいるという明るい情報もあるが、そもそも米国の対外輸出は米国の軍事力による押し売りであり、米国の輸出商品で真に競争力の存在するものは非常に少ない。世界覇� �喪失で米国はドル紙幣という最大の輸出商品を失い、劇的な内需減少を経験することになる。
世界的な景気後退は、資源需要の減少につながる。石油や石炭、鉄鉱石などの資源価格は下落することになるだろう。ただ、ドルをはじめとする幾つかの通貨の価値下落によって資源が投資先になる効果もあり、暴落するかどうかは微妙である。希少価値があり保存・備蓄が容易な資源は価値が下がらず、そうでない資源は価値が暴落するのではないかと私は想像する。
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